世界遺産に登録される自然豊かな島が騒然とした。鹿児島県屋久島の1キロ沖で発生した米空軍横田基地所属のCV22オスプレイ墜落。平穏な日常は突如かき消され、その様子を間近に目撃した地元住民らは事故の激しさに息をのんだ。
普天間飛行場の所属機MV22オスプレイが日ごろから市街地を飛び交う県内では、改めて危険性を指摘する声が上がった。オスプレイは事故後も飛び続け、即時飛行停止や基地撤去を訴える声も相次いだ。
機体の異変を確認してから十数秒、海面から水柱が上がった―。鹿児島県屋久島町沖に墜落したとみられる米軍機オスプレイ。真っ先に救助に駆けつけたのは、近くで操業中の漁師たちだった。現場に近い安房港に帰港後、南日本新聞の取材に「何が何だか分からないほどの漂流物があった」「こんなにひどい状況とは」と口をそろえた。
付近ではシマアジの一本釣り漁で5隻が操業中。最初に異変に気付いたのは、同じ船に乗る中島正道さん(68)と伊藤佳代さん(46)だった。2人によると、機体が突然くるくると回転しはじめ、エンジンから火が噴き出した。水柱が上がるまで「わずか十数秒、あっという間だった」。すぐに漁を取りやめ、救助に向かった。
「落ちる、落ちる」。中島さんらの叫び声を聞き、他の4隻も機体が海面に突入する瞬間を目撃した。漁場から現場まで約3~4キロ。急いで船を走らせると、高さ15メートルほどの煙が立ち込めていた。「機体の原形はとどめておらず、漂流物が散乱していた。油の異臭がすごかった」と30代男性。その後、別の船の漁師が海面にうつぶせに浮いていた搭乗員とみられる1人を見つけ、船に引き上げたという。搭乗員の捜索に加わった20代男性は「漁場から少し離れていたからよかったが、こんなことが起こるなんて怖い」とつぶやいた。
午後5時半ごろ、安房港ではブルーシートが張られ、消防職員や海上保安官らが周辺を動き回っていた。救急車が1台待機しており、搭乗員が見つかったとみられる。生死は分かっていない。
日が沈み、真っ暗となった午後8時半すぎも、安房港付近の上空を航空機やヘリが飛び回り、海面をライトで照らしながら残る搭乗員の捜索を続けている。
(南日本新聞社提供)
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