prime

「おでん東大」店主殺害から1年、起訴された娘夫婦の公判期日決まらず


「おでん東大」店主殺害から1年、起訴された娘夫婦の公判期日決まらず 店主が殺害された「おでん東大」の店舗=2022年12月、那覇市内
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 那覇市安里の通称・栄町の人気飲食店「おでん東大」の店主(当時58)=浦添市=が殺害され、無職の娘(35)=宜野湾市=と、職業不詳の娘の夫(35)=同=の2人が逮捕された事件から、6日で1年となった。那覇地検は2022年12月27日に殺人罪で2人を起訴したが、いまだに公判期日は決まっていない。店主の死と閉店を惜しむ声が上がる中、娘夫婦の突然の逮捕は関係者のみならず店の愛好者ら多くの人に衝撃を与えた。関係者によると、裁判の争点などを話し合う公判前整理手続きなどに時間を要しているという。
>>【事件の第1報】人気おでん店の店主死亡は殺人 沖縄県警が特定

 ■不可解な死

 起訴状などによると、2人は22年8月9日ごろ、那覇市のビル内で共謀の上、電源コードを店主の首に巻き付けて締め付けるなどし、窒息死させたとされる。県警関係者によると、財布などの貴重品は残されたままだった。店は旧盆に差しかかり休業しており、現場には自死を装った形跡がみられたという。

 市場関係者の話では、店主は盆休み明けの食材の発注を済ませていたほか、思い悩んでいる様子はなかったという。店主の知人女性は「あんなに元気だった人が突然亡くなったと聞いて、みんな『おかしいね。何かあったのではないか』とうわさになっていた」と明かす。

 ■待たれる真相解明

 娘の被告らは、たびたび生前の店主を訪ねていて、金銭援助を受けていたとみられている。琉球新報の取材に店の関係者らは、娘夫婦は収入に見合わない生活をしていたと証言。店主と娘の被告には以前から確執があったと話した。

 娘夫婦は逮捕の数日前には、米軍基地内のイベントに参加するなど店主の死後も変わらない生活を送っていた。一方、捜査関係者によれば、娘夫婦間で交流サイト(SNS)で事件についてのやりとりが確認されたという。

娘娘夫婦は逮捕前から複数回にわたり県警の事情聴取を受けた。当時の捜査関係者によると、2人は「殺してない」と容疑を否認していた。逮捕後の取り調べには「覚えていない」などとし、事件についての詳細を話さない状態が続き、事件の究明に支障を来したという。

 捜査関係者は「事件に関する記憶が頭から抜け落ちたかのようなところもあった」と話す。逮捕から約1年、関係者らの記憶の減退が懸念される中、一日も早い事件の真相解明が求められている。