有料

南城市、女性に契約解除の署名迫る 委託料の不支給を示唆、代理の運転手確保も要求 市長セクハラ疑惑


南城市、女性に契約解除の署名迫る 委託料の不支給を示唆、代理の運転手確保も要求 市長セクハラ疑惑 南城市役所(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 南城市で古謝景春市長(68)の運転手をしていた女性が「市長からセクハラを受けた」と市に申告した後、業務委託契約を解除された問題で、市が「(委託料の)支払いに必要」と言って、女性に契約解除の書類に署名するよう迫っていたことが分かった。さらに市は「代理の運転手の確保」も女性に要求。申告を機に事実上解雇する一連の対応について市総務課は15日、「配慮が足りなかったが、契約上やらないといけなかった」と説明している。

 市や女性によると、女性は2022年12月中旬、「運転業務中に、市長から胸を触られた」「言葉によるセクハラの被害も繰り返し受けていた」と申告した。市は当初、「(市長)本人は『不快な思いをさせたのであれば申し訳ないので謝りたい』と言っていた」と回答していた。

 しかし、古謝市長が市幹部に裁判で決着させる意向を示した後、市側は女性が求めた第三者を入れた調査や賠償を拒否。さらに、業務委託契約書に「(運転手が)業務を遂行できない場合は、代替要員を派遣して委託業務を遂行させる」と書かれていることを理由に、「代理」の運転手を出すよう女性に求めた。

 女性が、業務ができない状況をつくったのは市長側にあると指摘し、「信頼できない人(の運転手)に自分の知人を紹介させるのか」と疑問を呈したが、市側は「そうです」「背負う義務を負っている」と要求を続けた。

 その後、市側は23年3月末まであった委託契約の期限を22年12月末までに短縮する「変更契約書」に署名をするよう要求。経緯説明の文書には、市長のセクハラには一言も触れず、「精神的不安があり業務を遂行できないとの申し出があった」「代替要員をお願いしたが履行できないとの回答があった」と、女性側に責任を押し付ける内容が書かれていた。

 女性は異論を唱えたが、市側は「支払いの時に必要になる」と未払い分の委託料が支払えなくなることを示唆して、女性に署名を求めた。女性が応じなかったため、市側は「体調不良に伴う業務不履行があったため」と記した通知書に差し替えて、契約を解除した。

 市の総務課は15日、一連の対応について、「拙速と言われるかもしれないが、業務を遂行しないといけないので契約に基づいて対応した」と説明した。22年12月分までの委託料は女性に支払っているという。

 古謝市長は、旧・知念村長を経て、06年の合併後、初代の南城市長となり、現在4期目。18年の市長選で「オール沖縄」が推す瑞慶覧長敏氏に敗れたが、22年1月の市長選で、自民、公明両党の推薦で返り咲いた。

(上江洲仁美、岩崎みどり、南彰)