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視力失ったのに…「判決は軽過ぎる」  求刑通りも被害者側は判決に不服 沖縄署高校生失明事件


視力失ったのに…「判決は軽過ぎる」  求刑通りも被害者側は判決に不服 沖縄署高校生失明事件 那覇簡裁(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄県沖縄市の路上で2022年1月、バイク走行中の当時高校生だった男性(19)と沖縄署勤務の警察官が接触し、男性が右目を失明するけがを負った事件で、警棒を差し向けるなどし職務上の注意義務を怠って重傷を負わせたとして、業務上過失傷害罪に問われた警察官の被告(31)に、那覇地裁(佐藤哲郎裁判長)は25日、求刑通り罰金100万円の判決を言い渡した。閉廷後、被害男性の代理人弁護士は「右目を失ったのに判決は軽過ぎる」との男性の受け止めを明らかにし、判決を批判した。

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 判決は、ほぼ検察側の起訴内容通りに事実を認定。一方で、被告側が争っていたバイクの速度については「時速約25キロないし30キロ程度」と示した。起訴内容は時速約25キロで、被告側は時速30キロ以上だったと主張していた。

 佐藤裁判長は判決理由で、被告が通達などで定められた装備資機材を正しく活用しないまま警戒活動に当たったと指摘。進行するバイクの前に警棒を差し出した過失で男性にけがを負わせたとして、「とっさとはいえ、重大な傷害結果を生じさせる蓋然性(がいぜんせい)が高い危険なもので、警察官に課せられた基本的な注意義務に反する重大なものである」と強調した。

 懲役刑といった自由刑について「選択することも十分考えられる」とも言及。だが、バイクに乗る男性が「停止または徐行するなどの衝突回避などの措置をとれた可能性は否定できない」とし、「要因が被告人の過失だけにあるとして非難することはできないという意味で、相応の重みを持つ事情として考慮せざるを得ない」と述べた。

 閉廷後に報道陣の取材に応じた男性の代理人弁護士は、判決について、被告側の供述を前提に事実認定されていると訴えた。男性は「突然現れた警察官に棒のようなもので殴られた」などと主張していたが、採用されなかった。代理人は一連の審議経過を踏まえ、「全てで被害者を蚊帳の外に置いて決められてしまった」と憤った。判決後、男性は涙を流していたという。