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一番大事なのは諦めないこと 親川志奈子氏(琉球民族独立総合研究学会共同代表)<辺野古代執行 識者に聞く>


一番大事なのは諦めないこと 親川志奈子氏(琉球民族独立総合研究学会共同代表)<辺野古代執行 識者に聞く> 琉球民族独立総合研究学会の親川志奈子さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 名護市辺野古の新基地建設を巡る防衛省の設計変更申請を28日、国土交通相が県に代わり承認した。地方自治法に基づく史上初の代執行に対し、玉城デニー知事は「地方自治の本旨をないがしろにするもの」と批判。代執行訴訟で最高裁に上告した。琉球民族独立総合研究学会(ACSTLs)共同代表の親川志奈子さんに見解を聞いた。 

 日本は民主主義国家というが、今回の政府や司法の判断は、多数派の利益のためなら少数派の意見や権利を奪っても仕方がないという不条理を改めて露呈した。国と地方自治体は対等協力の関係とすべき地方自治体の理念も沖縄では通用しておらず、民主主義の崩壊と言わざるを得ない。

 先住民族の歴史を学び権利を保護する活動に従事しているが、長きにわたり過重な基地負担を強いられている沖縄は、日本と米国による二重の植民地という世界的に見ても特殊で、厳しい状況に置かれている。

 前代未聞と言われている軟弱地盤の改良工事が必要など、技術的にも疑問が残る辺野古新基地建設を強行する意義とは何なのか。米国と日本は沖縄に基地を押し付けることで日米同盟を深化させ、相互利益の関係を築くことだけに注力しているのだろう。

 一方、県民に沖縄の未来を託され選ばれた玉城デニー知事は判決は不服として最高裁への上告を決めた。厳しい局面でも闘い続ける姿勢は、まさに「辺野古NO」という県民の意思をくみ取った民主主義の実践で、評価すべき政治姿勢である。

 沖縄の不条理を県外や国際社会に訴え続けていくことが必要だが、一番大事なのは私たちウチナーンチュ自身が諦めないことだ。今こそ自己決定権はわれわれに帰属することを再確認し、行動することが求められている。

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