空席待ち、疲労の色濃く…那覇空港「人道的観点で」毛布や食料を緊急配布 欠航相次ぎ2000人以上に影響 羽田の事故で


空席待ち、疲労の色濃く…那覇空港「人道的観点で」毛布や食料を緊急配布 欠航相次ぎ2000人以上に影響 羽田の事故で 羽田空港での衝突事故の影響で遅延などが相次ぎ、利用客で混み合うチェックインロビー。お詫びも掲示されていた=3日午前11時9分、那覇空港(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 羽田空港で日航機と海保機が衝突し炎上した事故は帰省ラッシュを直撃した。3日、那覇空港は空席待ちや変更に追われる帰省客で大混雑した。航空各社によると、3日も事故の影響で那覇と東京を結ぶ便など9便が欠航し、2000人以上に影響が出た。

 不安なまま那覇空港で一夜を過ごした人もおり、3日も朝から、帰れるか分からないまま空席を待ち続ける人たちがベンチやカウンター近くに座り込み、疲労が色濃くにじんだ。

 那覇空港では、2日夜に羽田に出発予定だった約3400人が足止めされた。深夜まで空席待ちの整理券を求める長蛇の列ができ、ほとんどの人が自力でホテルを探したものの、確保できず約100人が空港にとどまった。那覇空港ビルディング(NABCO)が午後11時半ごろに備蓄の毛布やブルーシート、飲料水、パン、おむつなどを配った。担当者は「今回は人道的な観点から備蓄品で対応したが、那覇空港は宿泊できる設計ではないので、今後は周辺の宿泊施設の利用をお願いしたい」と話した。

 7歳と10歳の娘を含む家族4人で山梨県から観光に来た会社員の男性(51)は、搭乗予定だった2日夜の便が欠航になり、同日午後8時から配り始めた整理券を受け取れたのは3日午前1時すぎだった。3日朝にホテルから再び空港に来たものの手元の整理券の番号は2千番台で、3日午前11時時点で呼ばれたのは1670番台と遠く、「家族一緒に乗れるのか、乗れなかったらどうするか考えないといけない」と途方に暮れた。

 千葉県の会社員女性(23)も5時間ほど列に並び、整理券を受け取ったのは3日午前1時半を回っていた。同午前、母親と2千番台の順番を待ち続けていた。

 3日、日本航空(JAL)と全日空(ANA)は各2便の臨時便を運航。臨時便に家族で乗ることができた東京都の会社員男性(44)は安堵(あんど)の表情。11歳の息子が「天にも昇るような気持ち」と喜ぶ姿に目を細め、「新幹線で福岡から東京に帰る覚悟をしていた」と話した。


 この日は羽田発那覇・石垣行きでJALの4便とANAの5便が欠航し、那覇と東京を結ぶほぼ全ての便で遅れが出た。羽田から那覇に正午の便で着いた男性(73)は午前8時発の便のため午前6時から並んだものの、行列がひどく出発も遅れたという。「航空会社のやり方は改善してほしい」と要望した。

(藤村謙吾、與那覇智早、中村万里子)