【東京】自衛隊のハラスメント問題に取り組む弁護士グループ「自衛官の人権弁護団・全国ネットワーク」は15日、東京都の司法記者クラブで記者会見を開き、被害を受けた自衛官らへの、匿名のウェブアンケート結果を公表した。アンケートでは、被害を自衛隊内で相談した72人のうち6割に当たる46人が不利益な取り扱いを経験したと答えた。
不利益取り扱いの内容として配置転換を挙げた人が17人、退職強要が4人、減給が3人、降任・昇任留保が6人に上った。 ハラスメント被害を受けたとされる自衛官や元自衛官らが回答し、有効回答は110人。内訳は陸自55人、空自26人、海自22人、事務官など7人だった。パワハラが約81%、セクハラ約9%、マタハラ約2%、類型不明が約8%だった。
被害当時年齢で最も多かったのは40代で33人だった。加害者の属性は職務における上位者がほとんど。半数は加害者が複数と答えた。
被害を受けた後、自衛隊内で相談していない人は回答者の3割いた。理由として26人が「内部で相談すると加害者からの報復や組織から不利益に遭う」と回答した。
ハラスメント根絶について現在の取り組みは有効か尋ねる質問には、回答者の89・2%が「思わない」と答えた。理由として「ハラスメントの声を上げても黙殺されてきた。声を上げたことで不適切に人事評価を下げられ、給与や昇任面でも不利益を受けている」などと回答があった。
ネットワークは1月末をめどに分析結果をまとめて公表する。アンケートを基に防衛省に改善策を提言したい考え。(明真南斗)