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進む老朽化、足りない予算 水道管の耐用年数超 県企業局は値上げ検討、生活影響に指摘も


進む老朽化、足りない予算 水道管の耐用年数超 県企業局は値上げ検討、生活影響に指摘も 沖縄県庁(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 中村 万里子

 沖縄県企業局に配分されるハード交付金の減額により、老朽化した水道施設の計画的な整備に遅れが出ている。県企業局のハード交付金の要望額と、実際に付いた額を比べると、21年度は169億8千万円の要望額に対して予算措置は83億5千万円で措置率は49%、22年度は172億円の要望額に対し予算措置は64億円で措置率37%、23年度は132億円に対し予算措置は42億円で、措置率は32%にとどまっている。

 23年8月には台風6号来襲に伴う停電時に、南上原調整池へ送水する新垣増圧ポンプ場(中城村)の自家発電設備の不具合により、宜野湾市のほぼ全域と中城村の一部で11時間にわたって断水が起きた。新垣増圧ポンプ場は更新・耐震化事業が21年に完了する計画だったものの、事業完了は27年にずれ込み、6年の遅れが出ている。

 北谷浄水場も20年の完了時期が29年と9年の遅れが出ているほか、久志~石川導水管も18年に整備に着手する予定が、23年度時点で未着手となっている。今回事故があったうるま市の導水管は、久志~石川導水管の整備を終えた後、石川~西原間で整備を進める予定となっていた。

 県企業局は「水道の安定供給に向け、早期に老朽化対策を進めるとともに、大規模災害の発生に備えた耐震化対策の加速化が必要だ」とする。そのため、水道料金の引き上げで設備の更新や耐震化費用にも充て、整備を加速したい考えだ。ただ、PFAS対策も含め水道料金の値上げを巡っては市民生活に与える影響の大きさを指摘する声も根強い。

 (中村万里子)