有料

名入り万年筆など収拾 京都のNPOが最後の海軍壕調査 段ボール多数の遺骨や遺留品を確認 沖縄・豊見城


名入り万年筆など収拾 京都のNPOが最後の海軍壕調査 段ボール多数の遺骨や遺留品を確認 沖縄・豊見城 旧海軍司令部壕の遺骨や遺留品の調査をする「空援隊」のボランティア=28日、豊見城市の海軍壕公園
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 京都のNPO法人「空援隊」が20日から28日まで、豊見城市にある旧海軍司令部壕(ごう)の未公開部分の遺骨や遺留品の調査、収拾活動をした。同法人は2022年10月から定期的に旧海軍司令部壕を訪れて、未公開部分約150メートルの調査を実施しており、今回が5回目で同地の調査は最後になる。

 空援隊による旧海軍司令部壕の活動には、これまで延べ約1700人が参加し、土のう1万5000袋分の土を運び出し、段ボール8箱分の遺骨、5箱分の遺留品を確認した。5回目の調査には米軍人50人以上を含む250人が参加した。今回の調査で見つかった遺骨は段ボール2箱分、遺留品は1箱分になるとみられる。

 遺留品では、士官のものとみられる柄に海軍のマークが入ったスプーンや、万年筆や石けん箱などが見つかった。遺留品の一部には名前が記されており、平和の礎(いしじ)の刻銘から所有者の出身県が推察されたものもある。今後、自治体などに問い合わせ、遺族に返す方法を探すという。

旧海軍司令部壕の調査で見つかった万年筆の一部。「白尾茂夫」と名前が記されている

 広島県出身の廣中奏さん(21)は、琉球大学躰(たい)道部の仲間と参加した。「見つかった遺骨や遺留品を見て、ここであったことを想像し、悲しい気持ちになった。一つでも多くの遺骨を見つけてあげたい」と話した。

 空援隊の倉田宇山専務理事は「立場に関係なく多くの方が来てくれた。ボランティアだけでよくできたと思う。私たちが必要なくなり、早く解散することが目標だ」と、一日も早く戦争遺骨が回収されることを願った。

(藤村謙吾)