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南城市長疑惑「セクハラ分かる、力になれず申し訳ない」職員が謝罪  幹部判断に疑問か


南城市長疑惑「セクハラ分かる、力になれず申し訳ない」職員が謝罪  幹部判断に疑問か 南城市役所
この記事を書いた人 Avatar photo 南 彰

 古謝景春南城市長のセクハラ疑惑で、市長の意向で第三者による調査が見送られた後、市職員が「力になれず申し訳ない。セクハラって分かる話なので」と被害を訴えた女性に謝罪をしていたことが分かった。市役所内でも当初から幹部の判断に疑問の声が出ていたことを示すものだ。客観的な調査を拒む市の正当性が揺らいでいる。

 一連の問題では、業務委託で市長の運転手をしていた女性が2022年12月、「市長からセクハラを受けた」と市に申告。市長は当初「すみませんでした」「私はいつでも辞める覚悟です」と女性にメッセージを送っていたが、その後、第三者を入れた調査を拒否。市は同月28日に女性の契約を解除した。

 今回明らかになったのは、契約解除前の同月20日ごろのやりとりだ。

 市幹部が第三者調査や賠償を行わない考えを女性に伝えた後、運転手の女性から聞き取りをしていた総務課係長(当時)が泣きながら、「力になれなかったのは本当に申し訳ない。本当にセクハラって分かる話なので」「本当にあってはいけない」と女性に謝罪した。係長は、女性を立場の弱い業務委託で働かせていたことも問題視し、「なんでこんな形で運転手を雇っているんだろうとずっと思っていた」と伝えていた。

 このやりとりには、新垣郷太総務課長も同席していた。課長は29日の琉球新報の取材に「あったかもしれないが、今は答えない方がいい」と語った。

 女性の契約を解除した後の23年1月に「自分の業務に専念しなさい」と係長に伝えたという。係長が現状を納得しているかについては「それは分からない」と答えた。

 市はセクハラ疑惑の発覚後も、「ハラスメントがあったとする判断には至らなかった」(泉直人総務部長)とし、議会などが求める第三者による調査を拒否。元運転手以外からの市長のハラスメント申告も「ない」と主張している。

 しかし、南城市ハラスメント問題調査検証議員連盟が実施した職員アンケート(73件回答)には、市長からのセクハラ・パワハラを訴える回答が複数あった。「市長または上司などからハラスメントを受けたことがある」という回答が全体の30・1%、自分以外の人がハラスメントを受けているのを「見た」「聞いた」という回答も計46・6%に上った。議員連盟によると、自由記述欄には「相談しても解決しない」などという諦めの声が複数記載されていた。幹部が被害の訴えに向き合わない中、市役所内でハラスメントが放置されている可能性がある。

(南彰)