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「沖縄は湧水に触れる機会多い」 宜野湾・チュンナーガーでPFAS汚染の拡大防止実験 環境省事業


「沖縄は湧水に触れる機会多い」 宜野湾・チュンナーガーでPFAS汚染の拡大防止実験 環境省事業 実証実験で使用する浄化装置について説明する流機エンジニアリングの職員=31日、宜野湾市喜友名のチュンナーガー
この記事を書いた人 Avatar photo 名嘉 一心

 【宜野湾】環境省は31日、宜野湾市喜友名の喜友名泉(チュンナーガー)で有機フッ素化合物(PFAS)による地下水汚染の拡大を防ぐ技術の実証実験を始めた。受託した流機エンジニアリング(東京都)の職員が同日、浄化装置や期待される効果について報道関係者に説明した。

 チュンナーガーの湧水は一部住民が飲料以外の用途で使用してる。政府関係者によると「沖縄は湧水を身近に触れる機会が多い」として、汚染水の住民への曝露(ばくろ)を防ぐ観点から、県内でも汚染度の高い宜野湾市が実験地に選定されたという。

 実証実験に使う浄化装置は、湧水をくみ上げるポンプを納めた小屋内に設置された。装置はくみ上げた水に含まれるゴミを除去し、フィルターに水を通しPFASを除去する仕組み。1時間に100リットルの水を処理することができる。モニタリング機能も有し、フィルターにかかる水圧や1分間の流量などから動作確認ができる。使用電力なども記録し、実装に伴うコストも調査する。

 フィルターには厚さ1ミリの粉末状活性炭が付いている。流機エンジニアリングによると、粉末状活性炭は北谷浄水場などで使われる粒状活性炭の3分の1程度で、同程度の除去率が見込めるという。処理した水はサンプルとして定期的に回収し、沖縄環境分析センターなどで水質を分析する。

 実験はPFASを低減させたり、拡散を防いだりする技術の開発を推進する狙いがあり、環境省は調査結果を3月末までにまとめ、県内外の汚染が問題となっている地域に共有する予定だ。

(名嘉一心)