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次の創作へ思い熱く 受賞者ら、家族や仲間と祝う 琉球新報文学五賞贈呈式


次の創作へ思い熱く 受賞者ら、家族や仲間と祝う 琉球新報文学五賞贈呈式 贈呈式を終え、来場者から祝福される受賞者=14日夜、那覇市泉崎の琉球新報ホール(喜瀨守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 琉球新報文学五賞の贈呈式が14日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれた。受賞者9人はユーモアを交え受賞の喜びと創作への熱い思いを語り、駆けつけた家族や仲間たちと喜びを分かち合った。

 山之口貘賞のローゼル川田さんは、コロナ禍に那覇の町を歩くと人通りがなく、「戦争直後のような感じがした」という。“命がなくなるような恐怖感”が創作の動機になったと語った。

 短編小説賞正賞の上地庸子さんは沖縄を離れ、奈良に住む。沖縄とのつながりが薄れる苦しさから一心に執筆に打ち込んだ。産後3週間だが「夢だった」とあいさつに立った。「ダメ元で応募してみるものだと思った」と率直な語りで会場の笑いを誘った。佳作の上田真弓さんは広島県出身。沖縄戦を作品の題材にした。「架空の人物とはいえ、戦争の悲しみや苦しみを描くことが許されるのか、考えていかないといけない」と述べた。

 俳壇賞の伊波とをるさんは「これからも楽しい教室にしましょう」と後輩たちを励ました。遠藤石村賞の中本清さんは「沖縄の風に吹かれながら遊び、楽しんでいきたい」と意欲を示した。

 琉球歌壇賞の神村洋子さんは「短歌は言葉でつづる人生のアルバム。今というかけがえのない時間を私なりの色をつけながら詠んでいきたい」と前を向いた。宮里舞さんも、色や感触を覚えて短歌を詠む喜びを語った。

 児童文学賞短編児童小説部門佳作の金城圭さんは仲間と共に創作する喜びを語り、創作昔ばなし部門佳作の比嘉稔さんは「昔話の大ホラ話が好き。楽しんで書いていきたい」と笑顔を見せた。

(中村万里子)