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「沖縄を平和の拠点に」「真の積極的平和を」遺志継ぐ ガルトゥング氏死去 関係者から悼む声 沖縄


「沖縄を平和の拠点に」「真の積極的平和を」遺志継ぐ ガルトゥング氏死去 関係者から悼む声 沖縄 キャンプ・シュワブのゲート前で市民に語り掛けるヨハン・ガルトゥング氏=2015年8月22日、名護市辺野古
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「沖縄を平和の拠点に」と訴えていたヨハン・ガルトゥング氏が死去した。県内でゆかりのあった人からは「巨星落つ」と惜しみ、遺志を受け継ぐ声が上がった。

 沖縄国際大名誉教授の石原昌家さんは「平和学の礎を築いた人で、巨星落つと言われる存在だ」と語った。1996年に県内で開いた「国際平和学シンポジウム」に招いた際に糸満市摩文仁の平和の礎(いしじ)を案内した。ガルトゥング氏は「敵も味方も関係なく刻み、平和の心を体現している」と評価し、ずっと立ち尽くして敬意を払っていた。琉球王朝時代からの沖縄の歴史を研究し、「アジアのスイス、平和の海にしたい」と平和の拠点への期待を語っていたという。

 96年と2015年の来県時に意見交換したオール沖縄会議共同代表の高里鈴代さんは「平和運動にとって大事な人だった」と別れを惜しんだ。「安倍晋三元首相が『積極的平和主義』を主張したが、軍事力に依存した平和なんてあり得ない。ガルトゥングさんが提唱した、本当の意味での積極的平和を取り戻していきたい」と語った。

 国が代執行で辺野古新基地建設を強行するなか、高里さんは15年に辺野古でガルトゥング氏が市民に語りかけた言葉をかみしめたいという。「ここに集まっている人たちが民主主義そのものだ。時間はかかるが、きっと望みを成し遂げることができる」  (渡真利優人、南彰)