座礁事故は「超過勤務も要因」 石垣市の安栄観光、改善命令で運行減便も 沖縄


座礁事故は「超過勤務も要因」 石垣市の安栄観光、改善命令で運行減便も 沖縄
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 沖縄総合事務局は21日、石垣島と周辺離島を結ぶ定期船舶を運航する安栄観光(石垣市、森田安高社長)に海上運送法に基づく「輸送の安全の確保に関する命令」を発令したと発表した。昨年9月に同社のフェリー「うみかじ2」(120トン)が、竹富島南西の沖合で起こした座礁事故を受けた対応。船員法が定める勤務時間を何カ月にもわたり超過したことで船員に疲労が蓄積したことが事故の要因として、減便も含む運航体制の改善を命令した。また、入港時に運航管理者に連絡を怠る安全管理規定違反もあったとして連絡を徹底することも命令した。

 同社は2022年6月1日に「第八十八あんえい号」が基準航路から外れて浅瀬に船底を接触させる事故を起こした。これを受け、総合事務局は同30日付で県内初となる同命令を発令し過密ダイヤの改善を求めていた。今回の発令は2回目。

 昨年の事故を受けての同社への調査では、船員法では原則1日8時間、週平均40時間の勤務時間が定められているにもかかわらず、1日14時間、1週間当たり72時間などの超過勤務が確認された。

 総合事務局運輸部の担当者は本紙取材に、22年4月に起きた北海道・知床半島沖での観光船沈没事故を受け「対応を厳正化している」と説明。その上で「現在のダイヤで運航するには船の隻数、船員数が不足している。労働時間超過の一因は過密ダイヤの設定にもある。減便も含め安全な運航体制で運営してほしい」と話した。

(梅田正覚)