多くの国民が知らない… 沖縄の米軍基地の「2つの顔」「隠れみの」とは 東工大の川名教授が指摘 那覇で出版トークイベント 【動画あり】


多くの国民が知らない… 沖縄の米軍基地の「2つの顔」「隠れみの」とは 東工大の川名教授が指摘 那覇で出版トークイベント 【動画あり】 国連軍基地問題について議論する川名晋史教授(中央)と琉球新報社の知念征尚記者(左)、梅田正覚記者=25日、那覇市牧志のジュンク堂書店那覇店
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 「在日米軍基地―米軍と国連軍、『2つの顔』の80年史」(中公新書)を1月に発刊した東京工業大の川名晋史教授による出版記念トークイベントが25日、那覇市牧志のジュンク堂書店那覇店であった。川名教授は在日国連軍について「多くの国民がその存在を知らない。主権者として安全保障を考える上で問題だ」と指摘し、沖縄への基地集中を減らすために西太平洋地域でも北大西洋条約機構(NATO)のような枠組みの模索などを提案した。

 1950年の朝鮮戦争を契機に発足した「朝鮮国連軍」は、米軍の後方支援を担う英国やオーストラリアなどが参加する。朝鮮国連軍基地に指定されている米軍基地は米軍以外の外国軍も使用できるとされている。日本復帰の72年5月15日に県内3カ所の米軍基地が国連軍基地に指定された当時について「新聞でも小さな記事の扱いだった」とし、重要性がさほど強調されていなかったと指摘した。

 外国軍による米軍基地利用の根拠とされる「国連軍地位協定」について、「米軍は諸外国からの反発をかわすため、戦争を単独ですることを避けていた。国連軍として活動できる地位協定は『隠れみの』とみなしていた」と説明した。

 琉球新報は2月6~17日にかけて、川名教授の研究を基に「沖縄の国連軍基地・基地固定化の源流」を連載した。トークイベントでは連載を担当した知念征尚記者と梅田正覚記者も登壇した。研究を基に連載が展開されたことについて、川名教授は「研究とジャーナリズムの融合という意味では一つのモデルケースになった」と今後のさらなる連携に期待した。

 (渡真利優人)