1日は県立高校の卒業式。豊見城南高校を卒業する新垣有平さん(18)は脳性まひで手足が思うように動かない。特進コースで学び「困った時に助けてくれて、一緒にいて楽しい」という仲間たちに出会った。
緊張すると手が震えるという、嫌いだった特性も「個性の一つ。これがあるから自分なんだ」と思えるようになった。沖縄大学に進学し、社会福祉士という夢に向かって大きな一歩を踏み出す。
「先生や友人のサポートが充実していて、この学校で本当によかった」と話す。しかし、それ以上に新垣さんの頑張りを周囲が認めている。進行の早い授業ではノートが間に合わない。「タブレットを使えば」と言う教職員もいるが「周りとコミュニケーションを取りたいので、友人にノートを見せてもらうようにしている」
テストでは規定時間の1・3倍の延長、必要に応じて代筆の支援がある。入学当初は「自分の力だけでやらなくては」と支援に抵抗があった。相談員に「適切な支援は不公平ではない」と助言され、最低限の代筆を頼むようになった。
2年生の時、同じようにまひがありながら、福祉分野で活躍する人に出会い、社会福祉士を目指すことを決めた。「これまで医療や福祉の関係者、友人、家族らに支えられた。今度は困った人を助けられるようになりたい」。その先には自分の福祉法人を立ち上げるという夢がある。「障がい者が暮らしやすい街にしたい」と将来を見据える。
車が好きだ。「手が震えるから無理だよ」と言われるのではと心配していたが、教習所に通って1月に運転免許を取得した。「大学はバスで通うけど、慣れたら車でも」。夢に向けて目を輝かせる。
(岩崎みどり)