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政治的都合の「ねじ曲げを助長」「地方自治の逆行にがくぜん」 原告ら憤り 石垣住民投票訴訟・高裁判決 沖縄


政治的都合の「ねじ曲げを助長」「地方自治の逆行にがくぜん」 原告ら憤り 石垣住民投票訴訟・高裁判決 沖縄 福岡高裁那覇支部の判決を受け、思いを語る原告や支援者ら=3月12日午後、那覇市(喜瀨守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 中村 万里子

 石垣市の自治基本条例の下で、市長が陸上自衛隊配備への賛否を問う住民投票を実施しないことは権利の侵害だとして、市民3人が市を訴えた12日の控訴審判決で控訴は棄却された。原告らは那覇市の城岳公園で会見を開き、裁判所の判断は自衛隊増強や米軍基地の移設を強行する国の方針に沿ったものだと批判。「米軍や自衛隊に反対する訴訟は退けるという裁判所の意思を感じる」「南西諸島の自衛隊増強を住民の意思を問わないで何としても進めていく手法だ」などと抗議し、上告の決意を語った。

 原告代表で農家の金城龍太郎さん(33)は「中央政府にとって不都合な運動を排除する、目先の保身的な判断だ。時の首長の政治的な都合で条例の解釈や効力は自由にねじ曲げることができると助長する」と述べ、民主主義がつぶされることに懸念を示した。

 原告の川満起史(たつし)さん(36)は、地方自治は間接民主制を「基本」とし、住民投票制度は間接民主制の「例外」とした判決に憤る。「地方自治に逆行する内容にがくぜんとしている。間接―を補完する形で直接―がある。行政も司法も市民の声を聞く姿勢を持っていないことがとても寂しく、憤りを感じている」と悔しさをにじませた。

 同じく原告の宮良麻奈美さん(31)は「県と国の辺野古新基地建設訴訟も同じで、この国は民主主義のふりをしているだけ。日本全国の法律に関わる人はこの問題を看過せず、声を上げてほしい」と訴えた。3人は12日夜に那覇市内で開かれたトークイベントにも参加し、市民の声を市政に反映させる石垣島の未来への思いなどを語った。 

(中村万里子)