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米国でも批判、訴訟の動きも 墜落事故の遺族「米軍の説明は根拠不明」 識者がみる軍の特殊性とは <危険な空再び オスプレイ飛行強行>中


米国でも批判、訴訟の動きも 墜落事故の遺族「米軍の説明は根拠不明」 識者がみる軍の特殊性とは <危険な空再び オスプレイ飛行強行>中 事故原因が明かされないまま飛行を再開させたMV22オスプレイ=14日、宜野湾市内
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米軍のオスプレイの運用停止措置解除について、木原稔防衛相は9日、「大きな事故なので米国内での訴訟の可能性もあり、つまびらかにできない部分もある」と米側の意向を色濃く反映した言葉を並べた。

 約3カ月の異例の長期停止の背景には米本国でもオスプレイの「欠陥機」批判が盛んになり、訴訟リスクを抱えている事情がある。昨年11月に起きた鹿児島県・屋久島沖での墜落事故を巡り、米メディアはこれまで起きた重大事故も併せて詳細に伝えている。

 2022年6月に起きた米カリフォルニア州での墜落事故では5人が命を落とし、米国内で大きく報じられた。事故原因を巡り、米海兵隊大尉の夫を亡くした女性は米メディアの取材に「(軍の説明は)具体的な根拠が不明」と厳しく批判。女性は航空機事故に関する訴訟を主に取り扱ってきた米法律事務所の弁護士を起用し、製造元のベル・ボーイング社に対し訴訟を起こすことも検討していると、同事務所は声明文を発表している。

 航空評論家の青木謙知氏は「(軍の)内部で合意が得られれば、飛行を再開するのは当然の判断だ」と、民間機と違った軍用機運用の特殊性を指摘する。長期の運用停止は軍による徹底調査の表れともみており、「再開に至るということは隊員を説得できるだけの説明があったのではないか」と推測する。

 一方、事故原因を公にしないまま飛行を再開させた日米両政府の対応に、玉城デニー知事や松川正則宜野湾市長は14日、強い懸念を表明した。安全性に関する説明が不十分なまま飛行を認めた政府に対し、地元住民の不信感は高まり続けている。

(島袋良太、名嘉一心)