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「自分ごと」として問題に直面 国の整備計画に納得できず 「若い人に知ってほしい」イベント開く <日常を守る・うるま陸自訓練場断念を求めて>上のつづき


「自分ごと」として問題に直面 国の整備計画に納得できず 「若い人に知ってほしい」イベント開く <日常を守る・うるま陸自訓練場断念を求めて>上のつづき 問題を認知してもらおうと開催したダンスイベントで、マイクを握り盛り上げる名嘉真幸人さん(中央)と新垣宣道さん(右)=2月25日、うるま市の旭区公民館
この記事を書いた人 Avatar photo 金盛 文香

 「は?」思わず声が出た。東山(あがりやま)に住む新垣宣道(よしつね)さん(36)は市石川のゴルフ場跡地に防衛省が陸上自衛隊の訓練場を整備する計画を、テレビのニュースで知った。「住民は無視されている感じがする」と疎外感を口にした。急に自分の近くにやってきた訓練場計画。「人ごとではない」と新垣さんの意識はこれまでと大きく変わった。

 「政治には興味なかったし、署名もしたことがなかった」。苦笑いしながらそう語る新垣さんだが、地元の人と会話するうち、計画への危機感が募ってきた。「若い人に知ってほしい。自分たちで声を上げていこう」。幼なじみの名嘉真幸人さん(36)と若い世代を意識したイベントを開き、断念を求める署名を集めた。

 地元の旭区自治会は1月14日に住民の全会一致で計画への反対を決議した。その後、計画断念を求める署名活動を開始。これまで自治会活動などに関わりのなかった住民が署名を自治会に届けにくるなど、住民の断念を求める声が顕在化してきた。

 住民の声に押され、周辺自治会が相次いで反対を決議。2月1日には石川地区自治会長連絡協議会が反対を表明した。反対の声が石川地区に波及する中、防衛省は2月11日に住民説明会を開いた。

 新垣さんは「全然納得できなかった」と説明会を振り返る。防衛省は住民からの質問に「回答していない。住民の意見を取り入れてほしい」と疎外感は残ったままだ。「(訓練場を)許してしまったらどんどん危険性の高いものが入ってくる」と不安は募る。

 訓練場予定地に隣接し、石川岳のふもとにある県立石川少年の家では宿泊学習をした記憶もある。友達と石川岳を登ったこともある。新垣さんは宮森小学校出身。1959年に同小学校で起きた米軍ジェット機墜落事故の話も頭をよぎる。

 自分ごととして問題に直面し、新垣さんの意識は大きく変わった。これまで「年配の方がやるもの」だった抗議行動。生まれ育ち、思い出の詰まった地元を「不安な場所にしたくない」と立ち上がった。子どもたちにとって地元を守る行動が「当たり前になってくれるといい」と前を向く。

 (金盛文香)