【八重瀬】さまざまなコンクールで受賞歴のある全盲の宮城翔(かける)さん(18)=県立沖縄盲学校高等部=がこのほど卒業の節目を迎え、支援してくれた人たちに感謝の気持ちを込めて那覇市のライフセンタービブロス堂でピアノリサイタルを開催した。「耳コピー」を経て、点字楽譜を片手にもう一方の手で鍵盤を弾く研さんを重ねてきた宮城さん。自作の曲「羽ばたく」も披露し、約100人の来場者を魅了した。盲学校の教師になることを目指し、4月からは東京の学校に進む。
宮城さんは4歳から「ミュージックステップピアノ教室」の天願聖子さんの下でピアノを習った。小5の時に受けたコンクールをきっかけに、天願さんからステップアップのためにと「K’s Lesson Studio」の森山恵子さんの元でのレッスンを勧められた。小6の頃から点字楽譜を片手で読みつつ、もう片方の手で鍵盤操作を練習するレッスンが始まった。
それまでの耳で聞いて演奏する「耳コピー」による練習とは違い時間はかかったが、森山さんと点字楽譜を勉強して音のイメージが広がった。理論的に解釈でき、一段と表現力や演奏技術が上がったという。森山さんからは演奏時の姿勢をはじめ、音楽の表現の仕方、テクニックなどさまざまなことを学んだ。
2018年に全盲の世界的ピアニスト・辻井伸行さんが県内で公演した際、当時小6だった宮城さんは対面を果たしている。
宮城さんは自身のリサイタルの動画を自身でYouTubeにアップするなど、スマホも自在に使いこなす。普段は自宅の隣にある祖母の家でピアノの練習をし、時々ギターや三線も演奏したりして音楽を楽しむ。
4月7日から筑波大学付属視覚特別支援学校(盲学校)へ進学するため、一人で東京へ旅立つ。宮城さんは「電車を利用して多くの音楽ライブを聴きに行きたい。新しい環境で学べる楽しみでわくわくしている」と前を見据えている。
(喜屋武幸弘通信員)