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全市町村、土壌からPFAS 沖縄県調査 久米島、名護 高濃度 比謝川で指針値超え


全市町村、土壌からPFAS 沖縄県調査 久米島、名護 高濃度 比謝川で指針値超え PFAS全県調査で公表された土壌採取の様子=21日、本島中部(県環境保全課提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬

 県環境保全課は29日、発がん性が指摘される有機フッ素化合物、PFAS(PFOS、PFOA、PFHxS)の2023年度の残留実態調査結果を発表した。本島と宮古・八重山地域を含む水質と土壌を全県的に調査した。全県調査は初めてとなった土壌調査でPFOSとPFOAが全市町村で検出され、PFOSは久米島92ナノグラム、PFOAは名護で95ナノグラムなど高い値が検出された。水質は嘉手納町(比謝川)で国の暫定指針値(1リットル当たりPFOSとPFOAの合計50ナノグラム)を超過した130ナノグラムが検出された。

 県の多良間一弘環境部長は記者会見で、土壌の基準値は定められていないことから「調査結果に対して安全性の評価はできない」と述べ、調査結果を基に、国に対し基準の設置を求めていく方針をあらためて示した。

 土壌の調査地点は全41市町村と調整し各1地点を土地の利用履歴などを考慮して選定した。具体的な場所について、県は風評被害などを考慮し公表しないとしている。

 土壌調査は昨年7月に国が自治体に通知した測定方法で初実施され、土壌から水に溶け出すPFASの濃度を測定した。県の発表では、調査地点の下に地下水があり土壌からPFASが溶出したとしても地下水を直接摂取することは考えられないとの認識を示した。

 水質は、独自に調査を実施する那覇市をのぞき40市町村の各1地点を調査し、嘉手納町(比謝川)で国の暫定指針値を超過した130ナノグラムが検出された。35市町村で0・5~28ナノグラムの範囲で検出され、残り4市町村は測定可能な数値を下回った。嘉手納が指針値を超えた要因について、県は汚染源が基地に由来する蓋然(がいぜん)性が高いとの認識をあらためて示した。

(慶田城七瀬)