「津波が来る。逃げよう」　高台へ向かう緊迫の時間　約400人が集まった避難場所も　沖縄　石垣・与那国

　【八重山】ガタガタガタ。小刻みな震動で、テレビ、カーテン、コップの水が揺れた。3日午前、与那国町を震度4、石垣市を震度3の地震が襲った。直後に津波警報が発令され、街中には緊迫感が漂った。胸に赤ちゃんを抱く母親、乳母車を押す高齢女性、作業着やかりゆし姿の出勤前の労働者。多くの人が足早に高台へ向かった。警報から16分後に与那国に、34分後には石垣に津波が到達した。

　「津波が来る。逃げよう」。与那国町の自宅で朝食中だった男性（75）に近所の子どもが叫んだ。着の身着のまま車で高台へ。幸い家も体も無事だった。だけども「余震が心配だ」。警戒は解けない。

　石垣市内を一望できる高台にあるバンナ岳に向け、海岸沿いの新栄町や浜崎町から渋滞が発生した。津波警報発令中で、運転手や同乗者は焦りを募らせた。

　高台にある石垣中学校には車いすに乗った子ども、親子連れ、ペットを連れた高齢者ら約400人が集まった。教職員が交通整理や校内への避難を誘導。広場の木陰や校舎の3、4階に住民らが身を寄せた。

　運動場脇のベンチに腰掛けていた女性（84）は自宅の玄関先でデイサービスの送迎車を持っている時に地震が来た。親族の車で石垣中へ。足腰が悪く1人暮らし。「自分ですぐに動けない。こんな時どうなるかと心配だった」。伏し目がちにこぼした。　

　4歳、2歳、0歳の3人の娘と共に避難した女性（35）は子どもたちの無事に安堵（あんど）した。一方、もし避難が長期化していたらと考えると不安が募る。「子どもが過ごしやすい場所はあるのかな」。ぐずついたら、オムツは、おもちゃは。勝手が聞かない自然災害で多くの課題が頭をよぎる。

（照屋大哲）

4.3津波警報

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