観光客「土地勘なく怖い」 旅行中の津波警報 高齢者も自力の避難厳しく 宮古島・多良間島 高台目指し大渋滞も 沖縄


観光客「土地勘なく怖い」 旅行中の津波警報 高齢者も自力の避難厳しく 宮古島・多良間島 高台目指し大渋滞も 沖縄 「高い所、より高い所へ避難してください」と呼び掛ける宮古島署の警察車両=3日午前9時20分ごろ、宮古島市平良の平良港
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 3日午前に震度2を観測した宮古島市や多良間村では、高台にある公共施設や建物を目指して多くの住民や観光客が避難した。警察や消防が沿岸部をパトロールし、避難を呼び掛けた。土地勘のない観光客や自力で高台を目指すことが難しい高齢者の避難に遅れも見られた。

 「津波警報が発表されています。高い所、より高い所へ避難してください」

 津波警報が出た直後、警察車両がサイレンを鳴らしながら緊急走行し、平良港などの海岸付近で避難を呼び掛けた。

 「土地勘もないし、避難場所も分からない。現在地が海からどれだけ離れているかも分からなかった」。観光で子ども3人と市内を訪れていた40代女性=東京都=は市平良の体験工芸村の駐車場付近でスマホの津波警報を聞いた。急いで避難所を検索し、市役所までたどり着いた。「避難中は怖かったが、ここに来てほっとした」。

 JTAドーム宮古島に避難した男性(64)は「東日本大震災の記憶が脳裏をよぎった」と話す。男性は被災経験があり、15年前に家族で秋田県から宮古島市内に移住したという。「2011年当時、仙台への津波の高さは3メートルの予想だった。『またか』と思い、93歳の母親や近所の女性を連れて避難所に到着するまで気が気でなかった」と振り返った。

 多良間村では防災無線や村内アナウンスが流れ、住民同士が声を掛け合って避難し始めた。観光客も含め、車で避難場所に向かった人が多く、道路が大渋滞した。小さな島で海抜も低いため避難できる場所が少ない。高台にある避難所は上り坂で高齢者の足では歩いて避難するのが難しく、畑で作業中の人などに声をかけるなど集落に残っている人を探して回り、車で乗り合わせて向かったという。
 (友寄開、慶田城七瀬、清村めぐみ通信員)