不安定、低収入、ハラスメント…芸術担い手の「三重苦」深刻 なはーと、沖縄の若手芸術家ら調査


不安定、低収入、ハラスメント…芸術担い手の「三重苦」深刻 なはーと、沖縄の若手芸術家ら調査
この記事を書いた人 Avatar photo 南 彰

 那覇文化芸術劇場なはーとが、県内の文化芸術に関わる人材(アートワーカー)を取り巻く実態調査の結果をまとめた。将来の文化芸術の担い手たちが不安定な契約のもと、低収入やハラスメントに苦しんでいる実態が浮き彫りになった。

 調査は「アーティストの条件企画チーム」(上原沙也加さん、寺田健人さん、福地リコさん)との共同企画。「沖縄出身、あるいは沖縄を拠点に活動するアートワーカー」を対象に、1月23日から2月12日にオンラインで実施し、117人の回答があった。音楽、美術、演劇、写真、伝統芸能、映画などさまざまな分野のアーティストが回答した。81%が県内在住者、約3分の2が20代、30代だった。

 設問のテーマは、「お金と生活」「契約」「ハラスメント」の三つ。

 「お金と生活」では、「ほぼ芸術活動だけで収入を得ている」が29%。「ボランティアが多すぎる」「稽古期間も日当が欲しい。出演料が入るまで無給」などの声が寄せられ、「賃金が上がってほしい」と改善を求める人が71・8%に上った。

 「契約」では、「芸能活動で仕事上トラブルになったことがある」が66%あった。具体的には、不当に低い報酬額の決定(41人)、報酬支払いの遅延(33人)、報酬の不払い・過小払い(29人)が寄せられた。

 仕事内容の確認方法を複数回答可で尋ねたところ、「口約束で確認、合意を取っている」が70人いた。適切な報酬や権利を守るために、92%が「書面での契約」を求めている。

 また、「ハラスメントに当たる行為をされた、見たことがある」が80%だった。

 アンケート結果は、契約などに関するチェックリストとともに、なはーとのホームページで公表した。

 アーティストの条件企画チームのメンバーは「業界やコミュニティーが狭く、声を上げづらい状況があることを踏まえた上で試行錯誤した。環境改善につながることを願っている」と話している。

 (南彰)