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「想像以上にひどい」 沖縄のアーティスト取り巻く実態調査 主催者、行政の取り組み必要 


「想像以上にひどい」 沖縄のアーティスト取り巻く実態調査 主催者、行政の取り組み必要  那覇文化芸術劇場なはーと=那覇市久茂地
この記事を書いた人 Avatar photo 中村 優希

>>【調査の結果】不安定、低収入、ハラスメント…芸術担い手の「三重苦」深刻

 沖縄のアーティストを取り巻く実態調査の主催メンバーである、那覇文化芸術劇場なはーとの林立騎(はやしたつき)企画制作グループ長に話を聞いた。

 近年、国内のエンタメ業界でハラスメントの告発が続き、米俳優の性被害告白を機に、次々と被害者が声を上げ始めた「#MeToo」運動が世界的に起こるなど、明るみに出なかったさまざまな被害が表面化してきている。

 そうした流れの中で、県内でもアーティストの現状や課題について話す機会を設けようと、アーティストの条件企画チームが昨年11月に文化・芸術分野の若者を集めたトークイベントを実施した。さらに具体的に現状を可視化しようと今回の調査実施に至った。

 調査では主に20~30代の若い回答者を取り巻く問題が浮き彫りとなり、林さんは「想像以上にひどい状況だった。文化・芸術だけで食べていくにはまだまだ厳しい現実がある」と話す。

 林さん自身、文化芸術分野で長く働いており、条件が明示されないまま仕事が始まった経験がある。「曖昧さがあると力の強い人が有利になる」といい、仕事の契約を書面化することで、お金や業務量、ハラスメントなどの問題解決につながると主張する。

 2年前にドイツの劇場で働いていた際には、アーティストの報酬の基準を定める報酬ガイドライン作成に向けた動きが始まっていたという。「報酬の基準があれば、物価に応じた報酬増額などもでき、参考になるだろう」と話す。ハラスメントについては専門的な第三者を置いて、明確に解決に動ける相談窓口を設置するなど行政レベルの取り組みの必要性を語る。

 林さんは「実演家やアーティストは商品ではない。文化振興をしたいなら、その担い手となるアーティストを守り、安心して仕事ができる環境整備が大事だ」と話した。

(中村優希)