沖縄県で初となるアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」を使った治療が17日、宜野湾市の国立病院機構沖縄病院で始まった。病気を完全に治す治療ではないが、軽症の患者の病気の進行を抑える効果が期待される。琉球大学病院など県内の複数の病院でも治療の準備が進んでいるという。
レカネマブは、製薬大手エーザイなどが開発。アルツハイマー病の原因となる物質を取り除く作用を狙った薬として初めて承認され、昨年12月に保険適用となった。
治療の対象となるのは、アルツハイマー病に関連した軽度認知症とその前段階の軽度認知障害(MCI)の患者。2週間に1回、1年半にわたって投与を続ける。薬価は年間298万円で、3割負担の場合、医療費が毎月10万円余りとなる。
同病院によると、この日、50代の男性患者に新薬を約1時間かけて点滴で投与した。
この患者は昨年から探し物が多くなったといい、病院を通じて「日付も怪しくなり、悪くなるスピードが速くなっていると感じる。不安が強かったが、治療を受けられることで安心できる。希望が持てる」とのコメントを公表した。
同病院では、ほかにも3人が治療を希望し、事前の検査を受けているという。脳神経内科の渡嘉敷崇部長は「沖縄でも治療ができるようになった。早期の段階であれば、進行を緩める効果が期待できる。かかりつけ医に早めに相談してほしい」と話す。
(宮沢之祐)