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32軍壕、司令官の孫・牛島さん評価「中枢部、発掘進めて」 第1坑口を確定 沖縄


32軍壕、司令官の孫・牛島さん評価「中枢部、発掘進めて」 第1坑口を確定 沖縄 首里城下に走る32軍壕について語る牛島貞満さん=2020年7月、那覇市の首里城公園
この記事を書いた人 Avatar photo 南 彰

 32軍の牛島満司令官の孫で、「過去を学ぶ戦争遺跡」として司令部壕の保存・公開を訴えてきた牛島貞満さんは、ボーリング調査で、第1坑道にあった司令部壕の中心部の存在や位置を確認できた点を特に評価した。作戦室や情報室、一時期は司令官室もあった32軍の中枢の解明・保存につながるからだ。

 「1990年代の大田県政時代にも中枢部を狙って掘り進めていた。今回、よく坑道の床面を掘り当てたと思う。今後はそこを足場に、中枢部の発掘を進めていくことが可能になった」

 今回の調査の現場も視察していた牛島さんは、「埋蔵文化財の調査のように丁寧だった」と作業の進め方も評価した。その上で「県は費用がかかるので『空洞がないと掘らない』と言ってきたが、床面を発見したので、他の文化遺跡と同じように上の泥をどかして発掘を進めてほしい」と全容解明を求めた。

 牛島さんは首里城下に司令部壕をつくった技術力を評価している。その具体的な構造を解明することで、司令部壕を捨て、県民の犠牲を拡大した「南部撤退を決めた32軍の判断のずさんさ」も浮き彫りになるとみている。 (南彰)