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「平和外交こそ積極的平和主義」 憲法記念日 逢坂さん浦添で講演


「平和外交こそ積極的平和主義」 憲法記念日 逢坂さん浦添で講演 講演する逢坂冬馬さん=3日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報朝刊

 憲法記念日の3日、「2024憲法講演会」(県憲法普及協議会、沖縄人権協会、日本科学者会議沖縄支部主催)が浦添市のアイム・ユニバースてだこホールで開かれ、第2次大戦時の独ソ戦を舞台にした小説「同志少女よ、敵を撃て」の筆者で小説家の逢坂冬馬さん(38)が対談形式の講演に登壇した。逢坂さんは「憲法9条の理念で平和外交を行うことこそが積極的平和主義だ」と強調し、平和な社会構築に向けた社会運動の必要性も訴えた。

 逢坂さんは、琉球大学の山口剛史教授を聞き手に「戦争と平和~希望につながる抵抗の力~」と題して講演した。ナチス体制下のドイツで、独裁体制に抵抗した少年少女の物語を描いた新作「歌われなかった海賊へ」の執筆経験も踏まえ、「全体主義をつくったのは支配層だけでなく、権力に迎合する市民も加担した」と警鐘を鳴らした。

 自身もイスラエルのガザ侵攻への抗議デモなど平和運動に参加していると明かし、「社会運動こそが政治を変える力の源だ」と市民同士の連帯を呼びかけた。

 オンラインも含め800人(主催者発表)が参加し、客席からは度々大きな拍手が起きた。

 会場では「沖縄戦をはじめとした世界中の戦争でいかに命が奪われ、人間の尊厳が踏みにじられてきたかを知り、伝えることは戦争を止める大きな力となる」などと呼びかける憲法宣言も読み上げられた。

 (安里洋輔)