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県外での米軍基地「引き取り運動」 共感得る難しさ、どこに 全青司、初のシンポ


県外での米軍基地「引き取り運動」 共感得る難しさ、どこに 全青司、初のシンポ 全国的な基地引き取り運動について議論したオンラインシンポジウム
この記事を書いた人 Avatar photo 中村 万里子

 全国青年司法書士協議会(全青司)はこのほど「沖縄基地引き取り運動を議論する」と題したシンポジウムをオンラインで開いた。2015年以降、米軍普天間飛行場の県外移設を求める沖縄の声に呼応し、全国的に広がった米軍基地引き取り運動の当事者らが約10年の歩みを振り返り、共感の輪を広げる難しさや今後について意見を交わした。沖縄への米軍基地の集中は、憲法で定める平等権の侵害だとして、是正を求めていく重要性も確認した。こうしたシンポジウムの開催は初めて。

 新潟県立大教員の福本圭介さんは、運動が広がらなかった背景として、沖縄の米軍基地の集中に問題を感じつつも、自分が引き受けることは嫌だという県外の大多数の世論を挙げ、「そういう人たちと対話し、現実的な力にしてこなかった」と反省を語った。引き取る行動・大阪の松本亜季さんは「基地はどこにも要らないという主張に、『あなたは基地を引き取れるのか』と覚悟を迫ってしまった」と顧みた。

 司法書士の立場からは人権問題としてアプローチする提案があった。全青司の西村直樹さんは「本土の理解が得られないから辺野古という決め方は、憲法14条で禁止する不合理な差別だ。『沖縄米軍基地負担縮小法』といった法律を制定し、国の責任で沖縄の基地負担軽減、普天間の県外、国外移設を決定していくことが一番だ」と訴えた。

 19年の県民投票に関わった司法書士の安里長従さんも「辺野古の問題は憲法や国際人権法が保障する平等権の侵害だ。憲法の主人公は国民」と強調。基地や安全保障政策を閣議決定だけで進める異常さも訴えた。

 このほか元基地引き取り党共同代表の中村之菊(みどり)さんも登壇し、政治運動の可能性を語った。

 (中村万里子)