あしなが奨学金、申請者急増で採用率が過去最低45% 給付型移行と物価高で資金不足に 沖縄


あしなが奨学金、申請者急増で採用率が過去最低45% 給付型移行と物価高で資金不足に 沖縄 学校の教室(イメージ)
この記事を書いた人 Avatar photo 前森 智香子

 病気や災害などで親を亡くした子どもを支援する「あしなが育英会」の高校生向けの奨学金の申請が全国的に急増している。一方で資金不足のため採用できる人数に限りがあり、採用率が低下している。県内の高校1年生が入学前に申請した奨学金の採用率は2020~22年度は90%台だったが、24年度は過去最低の45・9%にまで落ち込んだ。

 高校奨学金の申請者の急増は、物価高騰による生活困窮が進んだ世帯が増えていることに加え、23年度から返還が不要の全額給付に移行したことが要因とみられる。全額給付への移行は、資金不足にもつながっている。

 高校奨学金は、中学3年生が申し込む「予約採用」と、在学中の生徒を対象とした「在学採用」の2種類がある。書類選考を経て採用されれば、月3万円が給付される。今年4月に高校へ入学した遺児らによる申請は県内で37人。採用は17人、採用率は過去最低の45・9%だった。全国の申請者数は過去最多の1800人で、採用率は過去最低の45・3%だった。

 あしなが奨学金を利用している琉球大工学部3年の親川成(じょう)さん(20)は、高校2年の時に病気で父を亡くした。現在はあしなが学生募金事務局の沖縄ブロックマネジャーを務めており「高校生は貸与型だと借りたくても申請しづらい。全額給付になって、申請しやすくなったのは良いことだと思う」と話す。自身は大学で建築を学んでおり、「奨学金で自分の夢に向かうことができて、すごく助かっている」と感謝を述べた。

あしなが学生募金事務局沖縄ブロックマネージャーの親川成さん=14日、那覇市泉崎の琉球新報社

 育英会では現在、高校・大学などの在学採用の奨学金申請を受け付けている。締め切りは今月20日。既に届いた申請の書面には「生活が苦しい」との切実な声が寄せられているという。九州担当の松永響さんは「支援を必要としている子どもたちが明るい未来に向けて進学できるよう、支援をお願いしたい」と寄付を呼び掛けた。

 寄付はゆうちょ銀行・郵便局口座で口座番号「00140―4―187062」、加入者名「あしなが学生募金事務局」。育英会ホームページからも寄付ができる。

(前森智香子)