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【識者】権利乱用の恐れも 「共同親権」法成立 寺田明弘氏(ゆいまーる法律事務所)


【識者】権利乱用の恐れも 「共同親権」法成立 寺田明弘氏(ゆいまーる法律事務所)
この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報朝刊

 民法改正による共同親権の導入は時期尚早だ。法案の成立ありきで議論が進められてきたように映る。これまで十分に議論を尽くされてきたのか疑問が残る。

 家事事件の現場に立ち会っている立場から見ると、DVの有無に関わらず、支配的な夫との関係のこじれから離婚に至った家族のケースでは、共同親権が認められていない現在でも対応が難しい側面がある。

 特に家父長的な価値観が根強く残る沖縄では、夫婦、親子間の意思疎通を軽視してきた父親が、離婚後に親権を主張してトラブルに発展する事例が目立つ。子どもの成長、権利保護のためには、父母ともに子育てに関わる必要があるということには異論はない。

 ただ、そのためには、共同親権の導入に伴う問題に対処するための救済機関の設立など、下地作りが不可欠だ。現状では、法制度が先立つことで親側の権利だけが先行して認められることになり、その権利が乱用される危険もある。拙速な法整備で一番守られるべき子どもの権利がないがしろにされてはならない。 

(弁護士)