全国から2000人超が参加 新たな戦前「人ごとではない」5・15行進 県民大会 沖縄


全国から2000人超が参加 新たな戦前「人ごとではない」5・15行進 県民大会 沖縄 登壇者のスピーチに真剣に耳を傾ける参加者=18日、宜野湾市立グラウンド(ジャン松元撮影)
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 復帰52年を迎え、18日に実施された「第47回5・15平和行進」と「平和とくらしを守る県民大会」。平和行進には全国から2190人、県民大会には2300人が参加した。参加者は沖縄の過重な基地負担の象徴である米軍普天間飛行場に沿うよう行進。復帰時に沖縄が求めていた姿とは遠い現状を目の当たりにし、県民大会で復帰の意味を問い直した。全国的に軍事化の動きが強まる中、改めて不戦を誓った。

 「平和とくらしを守る県民大会」には、県内外から昨年の約1400人を大きく超える約2300人(主催者発表)が参加し、沖縄の軍事化にあらがうため団結を固めた。

 米軍の新基地建設が進み、自衛隊もミサイル部隊を発足させるなど、軍事化が進む沖縄。今年は復帰の日の15日、土地利用規制法で国が利用を「注視」する区域が新たに指定され、さらに「新たな戦前」の空気が漂う。

 6歳の孫と参加した豊見城市の女性は「政府は県民の声を聞かず自衛隊配備を進め、辺野古に新基地も造ろうとしている。沖縄を無視して、戦争を始めるのではないか」と不安な様子を見せつつも「平和で安全に暮らせる社会を残さないといけない」と決意を新たにした。

 「台湾有事」が喧伝(けんでん)される中、那覇市からの参加者は(68)は「日本と中国が外交で緊張関係を解消する姿勢が見えないのが気がかりだ」と心配する。「問題は外交で解決しないといけない。戦争が始まると勝者も敗者も悲惨なことになる」と話した。

 大会宣言で「県民は(南西諸島の軍事要塞(ようさい)化を)見過ごしてきたわけではない」と強調された。政府がうるま市石川で計画した陸自訓練場整備は住民の反対運動で断念。この出来事は各地の運動に波及している。福岡県から来た男性は「隣県の大分にミサイル配備の計画があり、沖縄の出来事は人ごとではない。沖縄に来たのは陸自訓練場の事例を学ぶためでもある」と明かした。

 大会には20代、30代の若者も目立った。宜野湾市に移住し、大会に参加した山口県出身の男性(78)は「このような集会に冷めた目線を向ける人も多いが、大会に来ている人はそれぞれが思いを持っているはずだ。そこに目を向けてほしい」と訴えた。(福田修平、狩俣悠喜)