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救急搬送6年で最多 沖縄県調べ 高齢化背景、医療逼迫 コロナ流行期上回る


救急搬送6年で最多 沖縄県調べ 高齢化背景、医療逼迫 コロナ流行期上回る 救急車(イメージ)
この記事を書いた人 Avatar photo 宮沢 之祐

 県内の救急搬送が4月以降、6週連続で、この6年間で最多となっていることが、県防災危機管理課の調べで20日までに分かった。搬送先が決まらず、救急隊員と患者の現場待機が30分以上となる事案が1週間に37~46件あり、医療機関への受け入れ照会の回数も高止まりが続く。高齢化を背景に救急医療の逼迫(ひっぱく)が常態化しており、新型コロナウイルスの感染が拡大した場合、医療崩壊につながるとの危機感が医療現場で広がる。

 同課によると、本年度の第1~6週の救急搬送人数は計1573人。この6年間で最も多く、新型コロナ感染者が多かった時期を上回る。

 こうした状況から救急病院の受け入れが難しくなり、受け入れ照会の回数が増加。4回以上の事案が1週間に9~23件あり、最大照会回数は8となっている。現場での待機時間が延びることにもなり、最長で2時間10分に及んだ。

 那覇市消防局も、受け入れ照会の回数増加を懸念する。昨年、緊急性が高い患者の受け入れを近隣の病院に断られ続け、結局、中部地域の医療機関に頼った事案では、照会回数が21回に上った。

 担当者は「コロナ禍に関係なく、救急病院が逼迫状態にある。高齢者施設から病院、病院から病院へと高齢者を搬送するケースが多い」と、高齢化の影響を指摘。昨年6~7月、新型コロナ感染者が急増したことを踏まえ「この状況で去年のようなことが起きないか心配している」と話す。

 搬送された65歳以上の高齢者は2022年には4万5084人で、10年前の1・5倍に増えた。医療関係者からは「医療だけで解決できる問題ではない」との声も。

 県立中部病院感染症内科の高山義浩副部長は「抜本的な解決には、効率的な地域医療体制への改革が不可欠だ。医療と介護の連携強化や、住民に医療の適正利用を促すなど、多方面からの取り組みが求められる」と危機感を募らせる。

 (宮沢之祐)