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波照間空港 軍事利用しないで 住民、知事に反対伝達 石垣、与那国も「特定指定候補」反対の声 沖縄


波照間空港 軍事利用しないで 住民、知事に反対伝達 石垣、与那国も「特定指定候補」反対の声 沖縄 玉城デニー知事(左)に、特定利用空港のための波照間空港滑走路延長に反対する考えを伝える波照間公民館の仲底善章館長=22日、石垣市の大川公民館
この記事を書いた人 Avatar photo 照屋 大哲

【八重山】竹富町の波照間公民館(仲底善章館長)は22日、石垣市の大川公民館であった玉城デニー知事との住民懇談会で、自衛隊や海上保安庁による利用円滑化を前提にした「特定利用空港・港湾」の指定候補となっている波照間空港の滑走路延長に反対する考えを知事に伝えた。延長する場合は下地島空港の軍事利用を否定した「屋良覚書」のような対応をとるよう求めた。この日、石垣市や与那国町の市民団体も両市町にある空港や港湾の指定を容認しないよう知事に要望し、八重山全域から反対の声が上がっている。

 下地島空港に関しては沖縄が米統治下の1971年8月、琉球政府と日本政府が「軍事利用をしない」旨の「屋良覚書」を交わしている。

 仲底館長は、12日の定期総会で「自衛隊の使用が島の安心・安全に重大な障がいになるとの危機感」があるとして滑走路延長は反対多数で否決されたと報告した。公民館の会員は337人。総会には121人が委任状を提出し、92人が参加した。参加者のうち延長に反対が60人で賛成の32人を上回った。反対は高齢者や女性が多く「戦争につながる空港にしたくない」との意見が挙がったという。賛成は以前から「島の産業振興のために延長は必要」との意見があるという。

 知事は自衛隊の使用が住民の安心安全につながるのか国から十分な説明がないとして「防衛省の安全保障政策の穴だ」と批判し、指定には住民理解が必要との考えを示した。その上で「さまざまな情報が明らかになっていない現状で、慎重に計画や運営について国に説明を求めたい」と述べた。自身の賛否は示さなかった。

 前泊正人竹富町長は22日、本紙の取材に応じ「判断できる材料がない。県は国に詳細を確認し、国も積極的に情報開示をしてほしい」と語った。

 特定利用などに反対するため結成された与那国町の「紡邦(つむぐ)の海の会」(崎原正吉代表)。代表して参加した猪股哲さん(47)は与那国空港や比川地区の新港湾建設計画について、特定利用指定の受け入れを認めないよう知事に訴えた。石垣島の平和と自然を守る市民連絡会(共同代表3人)も新石垣空港の指定を「きっぱり断るよう要望する」と求めた。

 (照屋大哲)