仲座栄三琉球大名誉教授らが、糸満市の摩文仁の丘周辺の海岸断層崖やサンゴ礁が沖縄戦の艦砲射撃で破壊された痕跡の状況をドローンで撮影し、平和祈念公園案内所で開催中のパネル展で写真を公開している。仲座さんは「展示で知識を得た上で実物を観察し、鉄の暴風の実態を理解してほしい」と語る。
仲座さんらは、糸満市の米須海岸付近のリーフに砲弾による弾痕が無数にあるとの調査結果を今年2月に発表した。報道を受けて県平和祈念財団が展示を打診。仲座さんらはパネル展に向けて3月、摩文仁の丘周辺をドローンで撮影した。
5日には仲座さんが現地で報道陣に向け、パネル展と海岸線の断崖やリーフに残る艦砲射撃の痕跡について説明した。艦砲射撃で崩壊した断崖や転覆した岩、リーフに開いた穴などが平和の礎(いしじ)周辺や県平和祈念資料館の展望塔から確認できた。
仲座さんは「崖周辺に集中的に艦砲射撃した状況がうかがわれる。住民らが隠れている想定もあったかもしれない。平和の礎を訪れる修学旅行生らにすさまじい攻撃の痕跡を見てもらい、現代では想像しにくい艦砲射撃の実態を理解してほしい」と述べた。
県平和祈念財団の松川満常務理事は「摩文仁の住民から、体力がある住民は海岸の岩場の陰に隠れて生き延びたと聞いた。岩の破壊の痕跡から科学的に沖縄戦を分析するのは新しい視点だ」と語った。パネル展は約2カ月間の予定。観覧無料。
(岩切美穂)