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被害の救済より懲罰を優先、識者らが批判 南城市長セクハラ疑惑 きょう6日臨時市議会 沖縄


被害の救済より懲罰を優先、識者らが批判 南城市長セクハラ疑惑 きょう6日臨時市議会 沖縄 南城市役所(資料)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 古謝景春南城市長のセクハラ疑惑を巡り、一連の問題を追及してきた市議に対する懲罰動議を議論する臨時会が6日、開かれる。与党側が「市長からのセクハラ被害」を訴える複数の回答が盛り込まれた職員アンケート結果公表よりも、「秘密会にした特別委員会の内容が報道された」ことを重視しているからだ。真相解明より懲罰を優先する市議会のあり方に市民や職員、識者から批判が出ている。

 「ほかの自治体と比べて遅い」「もう半年になり、(被害を申告した女性への)誹謗(ひぼう)中傷も激しくなっているが、第三者委員会設置などの要望が多数決で却下されている。数のハラスメントだ」

 4日の市議会議長室。セクハラ疑惑を受けて発足した市民団体「ハートのまち南城 人権ファーストの会」のメンバーは昨年12月に疑惑が表面化して以降、市議会が第三者委の設置などを先送りしていることを批判。ハラスメントに関する特別委員会(安谷屋正委員長)が実施した職員アンケートの結果も早急に公表するよう求めた。

 中村直哉議長は「遅くなっているのはご指摘の通りかもしれないが、慎重にやらないといけないところがある」「早めに特別委を再開できるようにしたい」と理解を求めた。

 与党側は6日の臨時会で、一連の疑惑を追及してきた市議に対し、「秘密会の内容を漏らした」として懲罰を決める方針だ。内容次第では、特別委からの排除も可能だ。識者からは「ハラスメントの実相を伝えようとする者に対する威嚇行為。議会の本来の目的とは逆ではないか」(山田健太専修大教授)と批判が出ている。

 与党議員は先月31日の特別委で「漏えいは安心して回答した職員の信頼を裏切ることになる」と主張した。しかし、ある職員は語る。「切実な訴えに向き合わず、先送りを重ねる方が裏切りだ」 (南彰、普天間伊織)