prime

【識者】具体的対応、市や議会の義務 南城市長セクハラ疑惑 成定洋子氏(沖縄大学教授)


【識者】具体的対応、市や議会の義務 南城市長セクハラ疑惑 成定洋子氏(沖縄大学教授) 成定洋子・沖縄大学教授
この記事を書いた人 Avatar photo 外部執筆者

 今回、アンケートを実施した意義は大きい。しかし、回答率は50%を切っている。半数以上の人が回答していないにもかかわらず、「ハラスメントをされた、見聞きしたことがある」という回答が81件という数字は重い。回答率を考えればこの数は氷山の一角で、実際にはさらに被害者がいる可能性を考える必要がある。

 実態把握と被害防止のためには、アンケートの手法や内容だけでなく、調査主体の姿勢や調査結果の共有・公開方法も重要だ。今回のケースでは、アンケートの趣旨や調査の目的を明記した上で、結果をどこまで誰にどのように公開するかも事前に明確にしておくべきだった。筆跡がわかる手書きの投函(とうかん)はハードルが高い。

 懲罰動議よりも回答結果を重く受け止め、被害者を救うための対応策を早急に打ち出すべきだ。専門家などの第三者を交えた議論や外部相談窓口の設置など、具体的な対応によって問題解決を図るのは市や市議会の義務である。

 今回、市民団体が第三者委員会の設置や早期解決を求める要望書を議会に提出したが、安心して暮らせる自治体にしていくために、市民が声を上げることも重要だ。市議や首長の日常の言動を注視していく必要がある。

 (ジェンダー研究)