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陸自15旅団「問題認識はない」 牛島司令官の辞世の句、削除要請に応じず 沖縄


陸自15旅団「問題認識はない」 牛島司令官の辞世の句、削除要請に応じず 沖縄 陸上自衛隊第15旅団のHPより
この記事を書いた人 Avatar photo 南 彰

 那覇市に駐屯する陸上自衛隊第15旅団が公式ホームページで、日本軍で沖縄戦を指揮した第32軍・牛島満司令官の辞世の句を掲載している問題を巡り、高良鉄美氏(沖縄の風)は11日午前の参院外交防衛委員会で「県民の琴線に触れる」と述べ、23日の「慰霊の日」までに削除するよう木原稔防衛相に求めた。15旅団は11日午後、「旅団としては今、問題認識はない」と削除に応じない考えを示した。

 牛島司令官の句の掲載を巡って、政府は「歴史的事実を示す資料」と説明し「情報発信の趣旨が正しく伝わるように努める必要はある」と繰り返している。高良氏はこの日の委員会で「司令官の句は、戦略持久戦で沖縄県民を犠牲にした第32軍が『皇国を守った』という考え方で作られたことを、正しく認識すべきだ」と指摘。「削除しなければ犠牲者の霊を慰めることなどできない」と述べ、岸田文雄首相が参列する23日の慰霊の日の前に削除するよう求めた。

 木原防衛相は「自衛隊の活動には地元の理解を得ることが不可欠」と述べたが、具体的な対応については「地域の実情を知る部隊の判断・対応」に委ねるという従来の答弁を繰り返した。

 15旅団総務課は「旅団としては今、問題認識はないので、正しく情報を伝えていく努力をする」と本紙の取材に答えた。「正しく伝えていく努力」としての削除も「今はない」との認識を示した。

 この問題を巡っては、沖縄平和運動センターや「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」も抗議や削除を求める声明を出している。

(南彰)