沖縄戦の次代継承を探る講演会「沖縄戦の記憶継承の意義と課題」(小禄九条の会主催)が6日、那覇市高良の小禄南公民館で開かれた。本紙客員編集委員の藤原健さんが登壇。藤原さんは、住民や子どもなど戦時下では最も弱く追い込まれた側の視点を想像し、考えることが沖縄戦の実相にたどり着くすべだと話し、約60人が耳を傾けた。
藤原さんは、自身が取材した賀数仁然さんの記事や沖縄学研究者・故屋嘉比収さんの言葉などを紹介。戦後80年を迎える沖縄戦の風化に触れ、自身の体験を語ることなく亡くなった戦争経験者に「私たちはなぜ語らなかったのかを含め、聞いてきたのか。調べてきたのか」と投げかけた。
また、90分間の講演時間を例に、世界では5歳未満の子どもたちが戦争や貧困、病気で90分間に約900人亡くなるとするデータを示した。藤原さんは「その状況を目にできずとも、事実がないわけではない。調べてデータを基に、想像力を使うことで戦争を考えていきたい」と強く訴えた。
(小浜早紀子)