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21年ぶり津嘉山大綱曳きに熱気 区民ら伝統つなぐ 沖縄・南風原 


21年ぶり津嘉山大綱曳きに熱気 区民ら伝統つなぐ 沖縄・南風原  21年ぶりに開催された津嘉山大綱曳きで、懸命に綱を引く「東」の人たち=27日午後6時24分、南風原町津嘉山(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 約500年前に始まったとされる、津嘉山大綱曳き(大綱(ウーンナ))が27日、南風原町立津嘉山小学校運動場で行われた。前回は2003年に開かれた。区民と観客の熱気が会場を埋め尽くす中、21年ぶりの大勝負は、11分44秒の熱戦の末、東に軍配が上がった。

 津嘉山小運動場に午後5時過ぎ、大綱曳きのスネーイ(行列)が入場してきた。男性はブラ(ホラ貝)を吹き、ショーグ(鉦鼓)や太鼓、ドラを打ち鳴らし、女性は歌とともに鼓の音を響かせ、会場を練り歩いた。

 大綱の前に旗頭を立て、棒の芸能を演じると、琉球王国時代の豪傑の装いをしたシタクが登場。シタクが乗るチナブ(竹製の台)に棒が差し込まれ、かけ声と共に持ち上げられた。大綱の中心付近で、東西のシタクがにらみ合った後、カナチ棒が綱を貫き、綱引きが始まった。

 「ヒヤーユイ」のかけ声に合わせて、全長約100メートルの大綱と綱を握った群衆が波打つ。初めは東西互角の勝負だったが、次第に東が優勢になり、東が勝利を収めた。

 津嘉山の綱曳きは、約650年前に中国から伝わった。毎年行うウグァン(御願)綱と、数年ごとの大綱曳きがある。大綱曳きは約500年前の尚真王時代に、五穀豊穣(ほうじょう)を願い始まったとされ、区民の一致団結をはかる伝統行事として、継承されている。大綱曳きは豊作の際、数年に1回行われ、戦後は1955年を皮切りに、72年、82年、92年、2003年に開催された。03年の後は、公民館の建て替えや、新型コロナの感染拡大の影響があり、今年の開催となった。

 神里千恵子さん(68)は観客席で、妹と長男、次男の勇姿を見守った。神里さんは「高校2年のときスネーイに参加したことを思い出した。結婚し津嘉山を出たが、2003年も大綱曳きに参加した。感動した」と話した。

 津嘉山大綱曳き実行委員会の金城清実行委員長は「大綱曳きをやると決まってから、津嘉山小の児童が津嘉山地域振興資料館に来るなど、伝統行事に興味を持ってもらえた。行事を通じて、地域のつながりを強くしていきたい」と誇らしげに語った。

(藤村謙吾)