沖縄戦を率いた日本軍第32軍の牛島満司令官の辞世の句を陸上自衛隊第15旅団がホームページに掲げている問題で、新基地問題を考える辺野古有志の会とティダの会は31日、木原稔防衛相に削除を求めると表明した。
県庁で記者会見した両会は「大臣は旅団任せにせず、直ちに文民統制を機能させ、日本軍との連続性を断つべきだ」と訴えた。
防衛相宛ての要請文では、辞世の句の削除と、全ての自衛隊員・防衛省職員に「沖縄戦の実相を住民側の視点から正確に学ばせること」の2点を求める。沖縄防衛局を通して提出する予定だ。
両会は6月20日、那覇駐屯地を訪れ、15旅団の上野和士旅団長宛てに削除を申し入れた。しかし、15旅団は名護市から来た沖縄戦体験者の島袋文子さん(95)らを炎天下の道ばたで応対。1カ月後の先週になって、「削除しない」と回答してきたという。
ティダの会の大城重吉共同代表は「自衛隊は沖縄県民の戦争に対する思いは全く関せずという態度で許せない」と批判した。島袋さんも同席し「牛島満という人のせいで、沖縄のたくさんの人の命を失った。沖縄戦のことを何も教えていないから、自衛隊もわからない」と自衛隊の教育のあり方を問題視した。
ティダの会共同代表で小説家の目取真俊さんは自衛隊側の狙いについて「沖縄戦の記憶も薄れる中、日本軍の負の歴史に目を閉ざし、奮闘したかのような美しい物語を前面に出したいのだろう」と分析した。
(南彰)