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牛島司令官の「軍服」を展示 陸上自衛隊、那覇の駐屯地内の資料館で 現在は改装中で一般公開休止 沖縄


牛島司令官の「軍服」を展示 陸上自衛隊、那覇の駐屯地内の資料館で 現在は改装中で一般公開休止 沖縄 陸上自衛隊第15旅団が広報資料館「鎮守の館」に展示していた牛島満司令官の軍服(第15旅団の公式ホームページより)
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 陸上自衛隊第15旅団(那覇市)が、日本軍で沖縄戦を指揮した牛島満第32軍司令官の軍服を那覇駐屯地内の広報資料館で展示していたことが5日までに分かった。旅団によると、5月中旬から資料館のリニューアルのため一般公開を休止している。牛島司令官の辞世の句を公式ホームページに掲げている問題に続き、日本軍との一体化を進めるような自衛隊の実態が浮き彫りになった。

 軍服を展示していたのは、15旅団の広報資料館「鎮守の館」。地元の小中学生の見学にも使われている施設だ。

 15旅団によると、軍服をガラスケースに入れて展示し、妻から寄贈を受けたという説明文を添えていた。ただ、説明文の根拠となる資料は調査中で「いつ、どのような形で寄贈されたのかが分からず、展示の狙いも分からない」(総務課)と話している。

 資料館の一般公開の再開は、例年10~11月に行う那覇駐屯地開設と15旅団創隊の記念行事までを目指しているが、リニューアル後の軍服の扱いは「今は決まっていない」(同)という。

 15旅団を巡っては、牛島司令官が本土防衛のために沖縄の住民を巻き込む「南部撤退」の命令を決定した沖縄戦の実相に触れず、辞世の句を2018年から公式ホームページに掲げていることが発覚。「自衛隊が日本軍と直結した顔をむき出しにしてきており、ものすごい危機感を抱いている」(石原昌家沖縄国際大名誉教授)などと批判され、県内の平和団体が相次いで15旅団に削除を求めている。

 しかし、旅団総務課は「歴史的事実を示す資料で正しく伝わるよう努力していく。(掲載が)問題という認識は今はない」と削除に応じない考えを示している。 

(南彰)