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「疎開と何が違うのか」「障がい者はどうなるのか」 不安や疑問次々に 石垣で有事前提の住民避難説明会 沖縄


「疎開と何が違うのか」「障がい者はどうなるのか」 不安や疑問次々に 石垣で有事前提の住民避難説明会 沖縄 市の説明を聞く参加者=1日、石垣市民会館大ホール
この記事を書いた人 Avatar photo 照屋 大哲

 【石垣】「事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」―。石垣市民会館大ホールで1日に開かれた意見交換会で、市や国の担当者は「武力攻撃予測事態」について説明した。全住民5万人の島外避難や島に残る人たちのための特定臨時避難施設(シェルター)。有事を前提にした説明に、参加者からは「疎開と何が違うのか」「障がい者の情報確保はどうなるのか」など、疑問や不安の声が相次いだ。

 市の担当者が50分ほどかけ、航空機や船舶での島外避難について説明した。参加者は眉間にしわを寄せたり、額に手を当てたりしながら舞台上のスクリーンや配布資料に耳目を向けた。

 質疑応答では、多くの人が挙手。正面付近に座っていた大島忠(ただ)枝(え)さん(79)は「避難と疎開はどう違うのか」と質問。内閣官房の担当者は「避難は国民保護法で規定され、国民の安全を維持するための移動だ」と返答した。大島さんは「住み慣れた石垣で一生を終わりたい」と吐露した。

 中山義隆市長は「有事が迫っている時に残る人がいると、その人を守るために市職員も残らないといけない」と指摘し、「全員避難が大原則だ」と強調した。

 左前列に座り、舞台上の手話通訳を見ていた「石垣聴覚障がい者友の会」の本村順子さん(64)はろうあ者の情報確保について質問した上で「障がい者名簿を作成し、きちんと対応してほしい」と要望した。市長は「どの地域にどれだけの障がい者がいるのかをまとめ、孤立しないようにしていきたい」と答えた。

 同じくろうあ者の松尾次郎さん(68)も「シェルター整備に障がい者の意見を取り入れて」と要望。中山市長は「公共施設として、障がい者にも対応できる設計にしたい」と述べた。

 本村さんと松尾さんは報道陣の取材に応じ「障がい者は車いすなどさまざまな人がいる。障がい者も健常者も平等に命を守ってほしい」と願った。

 (照屋大哲)