夢を追いフランスにやってくる沖縄県出身者がいる。フランス沖縄県人会の久高泰子会長(67)=パリ在住=もその1人だ。フランス文学を志して留学し、出版した翻訳書が受賞したこともある。現在は沖縄の伝統文化をフランスで広める活動に精を出す。パリ五輪で「うちなーんちゅに頑張ってほしい」とエールを送る。
27歳の時にフランスの小説家、プルーストについて学ぶためパリのナンテール大に留学。松尾芭蕉など日本の古典にも目覚め、フランス国立東洋言語文化大に進み、修士号を取得した。
「日本文学は英語で紹介されることが多かった」中、在学中から歌人、石川啄木の作品のフランス語共訳などに携わった。万葉集の翻訳も手掛け、フランス出版連合会が設立した賞を受賞した。「東歌(あずまうた)のロマンチックな心情はフランス人にも共感された」と語る。
今年10月には、県人会と県の主催で三線などを披露するイベントをパリの日本文化会館などで開く予定だ。沖縄の政治動向には常に関心を持ち「まずは伝統文化を入り口にして、世界の人にも基地問題を知ってもらいたい」と思いを語る。
パリ五輪は会場での観戦予定はないが、テレビで楽しんでいる。「空手があったら会場に行っていた。沖縄には世界に誇る伝統文化がある。うちなーんちゅの活躍に注目している」と、県勢選手の活躍がパリから世界へ発信されることを期待している。