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「防災」前面に公道訓練 多良間で陸自 島を2周行進 住民「準備は大切」「軍事的では」 沖縄


「防災」前面に公道訓練 多良間で陸自 島を2周行進 住民「準備は大切」「軍事的では」 沖縄 多良間村の公道で徒歩防災訓練を実施する陸上自衛隊宮古島駐屯地の隊員ら=4日午後7時ごろ、多良間村仲筋
この記事を書いた人 Avatar photo 友寄 開

 【多良間】陸上自衛隊宮古島駐屯地は4日夜、多良間村の公道で徒歩防災訓練を実施した。訓練には新隊員特技課程と一般曹候補生課程の新隊員9人を含む約25人が参加している。同村の公道を使った長距離の徒歩訓練は初めて。隊員は重さ約20キロの荷物を背負いながら、村の一周道路を歩いた。村民からは訓練の実施を前向きに捉える意見がある一方、「防災」を前面に出しつつ、軍事的な要素も含んでいないか疑問視する声も上がった。

 訓練では、隊員らが農村公園を出発し、一周道路を2周する約35キロの距離を歩く。翌5日午前6時まで行進し、その後には救援・人命救助訓練なども予定している。

 長期にわたる台風により、空港と港湾施設が一部損壊し、木や電柱の倒壊で道路が使えない状況下で、避難所へ非常用物資を運ぶことなどが想定されている。

 午後7時ごろ、農村公園に集まった隊員らは、一周道路に出て、一列になりながら歩みを進めた。

 70代男性は「さまざまなことを想定した準備は大切なことだ」と話し、村内の公道を使った訓練の重要性を強調した。一方、50代女性は「今回の訓練は軍事的な要素を含んでいないのか疑問だ。『防災訓練』としてやるのであれば、県内の各離島で実施されるべきだが、先島以外の離島で公道を使った徒歩訓練は聞いたことがない」と語る。政府が進める南西諸島への軍備強化に付随する訓練ではないかと警戒し「軍事訓練であれば、村内でやらないでほしい」と訴えた。

(友寄開)