【うるま】県内から精鋭牛が集まった11日の第12回夏の全島闘牛大会。体重別で争うタイトルマッチのうち、最大の見どころとなる中量級優勝旗争奪戦では、29分にも及んだ名勝負に、観客からは惜しみない拍手が送られた。
「黒獣王(くろじゅうおう)の一強時代」と言われるほど、圧巻の強さを見せる王者。チャレンジャーである心美花形(ことみはながた)の牛主・仲野功一さん(30)は、愛牛の可能性を伸ばせるよう、切磋琢磨(せっさたくま)してきた。大会前に慣れ親しんだ徳之島で過ごすと「気分がリフレッシュする」といい、今回も1カ月ほど徳之島へ渡った。会場に慣れるため、何度も石川多目的ドームに足を運んだ。
「相手と距離を置いて勝負する」のが心美花形のスタイル。相手にのまれず、体力が限界の時に出る「舌出し」をしても、心美花形は自分のスタイルを守り抜いた。「『勝つ』という気持ちが伝わった」。仲野さんは勢子(せこ)としてほぼ出ずっぱりで、愛牛の激闘を支えた。
黒獣王がひるんだところを見逃さず、追い込み勝利を決めた瞬間、仲野さんはすぐさま愛牛の背中にまたがり、喜びを爆発させた。「強みを生かして勝ち取った。最高です」。涙で目を潤ませて、愛牛の不屈の心をたたえた。
(玉城文)