アパートの家主から全戸を一括で借り上げて入居者に転貸する、サブリース事業を展開する不動産大手のレオパレス21(レオパレス、東京)が一方的に賃料を減額したことを理由に、同社との契約を解除した県内在住の家主が同社に物件の明け渡しなどを求めた訴訟で、那覇地裁(原美湖裁判官)は同社に物件の明け渡しと、契約解除後の賃料相当分の損害金支払いを命じる判決を言い渡した。判決は8日付。
原告の家主の代理人弁護士によると、レオパレスによる一方的な賃料引き下げを巡るトラブルは全国で相次いでいる。訴訟に発展する事例もあるが、物件明け渡しを求める家主の訴えを裁判所が認めるのは異例という。
訴状によると、2007年3月20日、レオパレスは家主と30年間、アパートを月額42万3600円で借り上げる賃貸借契約を締結。しかしレオパレスは21年2月、家主に賃料を月額38万7429円に引き下げることを書面で通知。家主から減額を拒否されたにも関わらず、同6月以降、減額した賃料のみを支払うようになった。
家主は22年1月にレオパレス側に契約解除を通知。同3月に物件の引き渡しと、本来の賃料との差額分を支払うよう求める訴訟を提起した。家主は、借地借家法では、賃借人による賃料減額の請求が認められるためには「減額を正当とする裁判」の確定が必要で、一方的な減額請求は「法に反する」と主張。「債務不履行が極めて背信的」としていた。
原裁判官は判決理由で、借地借家法に照らして、レオパレスの姿勢は「法の規定に明白に反している」と判示。物件の明け渡しを命じた上で、減額分を支払わなかった点を「債務不履行の帰責性の程度が大きいといわざるを得ない」と指摘した。
原告の代理人弁護士は本紙取材に「トラブルが相次ぐ中で画期的な判決だ」とした。レオパレスの広報担当者は「判決文が届き次第、内容を精査し対応していく」と述べた。