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防止柵でマングース捕獲 沖縄本島北部で防除続く 「SFライン」以北、2026年までに根絶目指す 


防止柵でマングース捕獲 沖縄本島北部で防除続く 「SFライン」以北、2026年までに根絶目指す  環境省が防除を進めてきた外来種マングース(環境省提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 中村 優希

 環境省が鹿児島県・奄美大島のマングース根絶を宣言したが、沖縄県内では、希少種が多く生息する北部地域に限定した環境省と県の防除活動が現在も続いている。大宜味村塩屋と東村福地ダムを結ぶ「SFライン」に北上防止柵を設置し、2026年までに同ライン以北のマングース根絶を目指している。 

 県内に生息するのはフイリマングース。ハブやネズミの駆除を目的に1910年に本島に持ち込まれたが、さまざまな動物を捕食するため、ヤンバルクイナや希少カエル類なども食べてしまうなど生態系に悪影響を及ぼしている。

 防除事業は、県が2000年から、環境省が01年から始めた。最も捕獲数が多かった17年度の619匹に比べて22年度は58匹と10分の1まで減少している。県の担当者は「毎年増減はあるが、長い目で見ると減ってきている」と手応えを感じている様子だ。

 SFラインの南も、名護市源河と東村有銘を結ぶライン以北からSFラインまでの地域を第1、2バッファーゾーンに分け、県が防除に取り組んでいる。

 環境省やんばる自然保護官事務所によると、 沖縄は奄美より気温が高いなど、マングースの本来の生息地域に環境が似ていることから繁殖しやすいという。また森林面積の多い奄美と比べて沖縄は人が生活する市街地も多く、柵やワナの設置に難しさがある。

 カゴワナや筒ワナなどの設置のほか、探索犬やマングース捕獲専門の事業者などによる駆除に取り組んでいるが、最近ではリュウキュウイノシシが捕殺式の筒ワナに設置されているエサを食べてしまうなど、駆除活動に課題もある。

 マングースは本島中南部にも分布するが、まだ対策はなされていない。県の担当者は「まずはSFライン以北のマングース排除に向けて事業を進めていく」と話した。沖縄本島のマングース根絶の道のりは長そうだ。 

(中村優希)