有料

自民9候補「辺野古」言及は石破氏のみ、米兵事件言及は上川氏1人 小泉氏は「基地を逆手に」 沖縄の総裁選演説会


自民9候補「辺野古」言及は石破氏のみ、米兵事件言及は上川氏1人 小泉氏は「基地を逆手に」 沖縄の総裁選演説会 自民党総裁選の演説会を前に、厳重な警備態勢の中で入場する聴衆ら=17日午後、那覇文化芸術劇場なはーと(又吉康秀撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 南 彰

 自民党総裁選の候補者演説会が17日、那覇市内で開かれた。多くの候補者が基地問題に触れたが、新基地建設を進める「辺野古」や相次ぐ「米兵女性暴行事件」に直接言及したのは9人の候補者のうち、それぞれ1人だけだった。参加者からは疑問の声も出た。

 「基地近くの幼稚園にいる子どもたちは何も気にならないように遊んでいて、逆に心が痛んだ」 林芳正官房長官は、防衛相時代の視察を振り返り、普天間飛行場の返還の必要性を訴えた。しかし、辺野古に移すことの説明はなかった。

 「辺野古」の地名を出したのは、県選出の自民国会議員らに辺野古移設を容認させて会見した様子が「平成の琉球処分」と批判された石破茂元幹事長だけだった。「十分に沖縄の皆さまの理解を得て決めたかというと、必ずしもそうではなかった」とわびた。

 相次ぐ米兵女性暴行事件についても、上川陽子外相が「心も胸もつぶれる思いでいっぱい。基地関係者の性犯罪・性暴力は二度と起こさせない」と言及しただけだった。

 傍聴した会社員女性(30)は「県民の民意に反して工事を強行している辺野古の説明が、ほとんど聞けなかった。しかも、小泉進次郎元環境相が『基地を逆手にとって皆さんの生活を向上させたい。その思いは全く同じです』と語ったのはびっくりした」と語った。

 会場には1996年の普天間返還合意直後に梶山静六官房長官の下で沖縄振興に関わった川窪俊広元総務省自治税務局長の姿もあった。川窪さんは「当時は梶山さんなど沖縄戦の特別な重たさを実感する政治家がいた」と振り返り、「振興策であっても、沖縄の歴史を踏まえて考えることが大事だ」と指摘した。 

(南彰)