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アーティスト、不当契約書に苦しまないで 那覇で講座「相手が大手でも注意」 沖縄


アーティスト、不当契約書に苦しまないで 那覇で講座「相手が大手でも注意」 沖縄 ヨルベが主催した「アーティストの労働環境を整えるための連続講座」の1回目=9月28日、那覇市の県立博物館・美術館
この記事を書いた人 Avatar photo 南 彰

 文化芸術の担い手たちが不安定な契約のもと、低収入やハラスメントに苦しんでいる問題を受け、「アーティストの労働環境を整えるための実践講座」が始まった。那覇市の県立博物館・美術館で開かれた初回は、発注者主導でつくられる契約書の危険性を、ワークショップを通じて学んだ。

 主催はヨルベ。県内の文化芸術の担い手(アートワーカー)を取り巻く実態調査を那覇文化芸術劇場なはーとと取り組んだ団体で全4回の講座は県などが支援している。

 9月28日の初回は、「クリエイター六法」の著作がある田島佑規弁護士が講師を務めた。作品展を題材にし、発注者の文化財団側と、参加するアーティスト側に分かれて交渉し、契約書を作成するワークショップを行った。

 田島弁護士は、契約書の書き方次第では、自分の作品を自由に使えなくなったり、経費の持ち出しで赤字になったりする危険性を指摘。契約書案を読んで修正する際のコツとして、(1)不都合なことがないか、想像力を働かせながら読む(2)よく分からない記載はためらわずに相手に聞く(3)契約書を追記・修正する際は難しい言葉を使う必要はない、の3点を挙げた。「相手が大手であっても注意」と伝えた。

講師を務めた弁護士の田島佑規氏

 来月には、口約束を禁止するフリーランス新法が施行される。田島弁護士は講座後の取材で、発注者の論理でつくられた契約書が増えることを懸念。「契約書はよほどの事情がない限り、無効にならない。よく読まずにサインして痛い目に遭う人が多い。大学や専門学校でも契約書について学ぶ機会を設けた方がいい」と話した。

■実践講座、次回は20日に 男性学を考える

 文化芸術の担い手たちが不安定な契約のもと、低収入やハラスメントに苦しんでいる問題を受けた「アーティストの労働環境を整えるための実践講座」(主催・ヨルベ)の2回目は20日午後6時から那覇市牧志の浮島ブルーイングで開かれる。

 「#男性学から考える! 男たち、こんな時どうしてる?」と題したトークイベント形式。シネマラボ突貫小僧の平良竜次代表、スマートフォンアドバイザーのモバイルプリンスさん、文筆家のヒラギノ游ゴさんを招き、ジェンダー表現について考える。参加は無料。申し込みは次のURLからから→https://forms.gle/dnVD6Kq1ZjUHKLi57
 (南彰)